深い森に囲まれた赤石川上流部、第４堰堤から下の流れ。

7月1日、赤石川解禁　神の雨が降り出して・・

　羽田発一番の飛行機で青森空港に到着。
夢枕　獏さんとシマノの遠藤さんと、ブナの森から流れる白神山地の清流、赤石川へと一路向かう。
獏さんと遠藤さんは1泊2日の弾丸釣行だ。
父は興奮状態なのか、助手席でまるで子供のように体をゆすっている。
コバルトブルーの海が視界に入って、鯵ケ沢を通過したらもうあと少し。
車で約１時間半、ようやく熊の湯温泉に到着。
まずは熊の湯特製のラーメンで腹ごしらえ。いざお気に入りのポイントへと向かう。
マイナスイオンたっぷりのブナの森が私達を迎えてくれるが、空は雲で覆われていて、いまにも雨が降りだしそうな様子。鮎のハネも無い。
獏さんは……モクモクと仕掛けをつくっている。まっさきにサオを出す父だが一向にアタリが無いようだ。
厳しい釣りになりそうな雰囲気が漂いはじめる。

夢枕さんは短めな竿で、この日はドブ釣り(毛バリ釣り)スタイルに忠実。竿をゆっくり操作していた。
写真は雨がくる前の静寂な一時に、竿を構える夢枕さん。

っと、雨がパラパラ降ってきて、鮎が一斉にハネ始める。
まずは父がサオを絞り始め、獏さんは、父の勧めで毛鉤を「興浅」に切り替えたとたんに、
ぱたぱたと釣りだし始めた。獏さんの顔つきがキリリと豹変する。
17～18cmの鮎の強い引きに、最初は慎重に取り込んでいた獏さんも徐々に 早い取り込みに。

夢枕さんが釣り上げた形の良いアユを、シマノの遠藤さんがカメラに収めている。
後日雑誌に掲載するため。

遠藤さんも、初めての鮎の強烈な引きに「おぉ～」と声が漏れる。
途中から、地元の釣り師もかけつけて、獏さんの隣でサオを出す。
獏さん、約3時間弱で30匹ほど釣り上げ帰路へ。
長い道のりも、皆の足取りは軽快だ。

興津川香鱗会の杉山明さんの創作した毛バリ「興浅」。
この日、この毛バリにアユがヒットした。
(澤渡　要著・「鮎毛バリ大図鑑」からお借りした写真です。)

夜は会員達と共に宴会。
お酒は差し入れの「白神」で、酒の肴はもちろん鮎釣り。
獏さんは、釣りのなかでも鮎釣りが一番好きだという。
「皆さん、奥様はどうですか？鮎釣りに心よく送り出してくれますか？うちはね～。」と話は、
いよいよ盛り上がる。
遠藤さんは、シマノさんが発行している「フィシング＆カフェ 」という雑誌の編集長で、
宴会後、獏さんの部屋で、獏さんと父との鮎釣り対談。
川のせせらぎと森の音を聞きながら、夜のひとときはあっという間に過ぎていった。

赤石川、解禁2日目はヤマメも毛バリにアタック

　7月2日早朝、父は一人5時に出発して同じポイントへ。
鮎一筋60年の父は、毎度気合いたっぷりでとてもついていけない。
獏さんと遠藤さん、わたしの3人は7時に出発。「なんかのんびりでいいね～」とニコニコの獏さん。
また同じポイントで獏さんと遠藤さんは、まずは上流で渓流釣りと撮影。
到着すると、既に父はダブルが4回あって入れ食いだったとニンマリしている。
またもハリは「興浅」だ。今年の興浅はなんか違うモノって感じ。
獏さんも20匹ほどを釣り上げる。
遠藤さんも毛バリで山女魚を、1回目は道糸を切られて、2回目は会心のたもへ。

シマノの遠藤さん。
ヤマメを釣り上げ、笑みがこぼれる。

ほぼ20㎝のアユをタモ取りして、ドヤ顔の澤渡　要会員。

　早めに納竿。
足取りも軽く、おしゃべりしながら宿へ戻る。
差し入れの美味しい支那ソバを食べて、最後は獏さんのサイン会。
熊の湯温泉のおくさんの差し出した切り株、そして夢枕　獏さん著『愚か者の杖』にサインしていただく。

写真の現物は、「熊の湯温泉」に展示中です。

　1泊2日という強硬なスケジュールの中、赤石川での釣りを楽しんで頂き、
獏さんは『エベレスト　神々の山巓』のイベントのため東京へ戻られた。

夢枕さんが高座にのぼり落語を一席！

　赤石川釣行の前日、6月30日。
上野鈴本演芸場の夜席を借り切って、特別企画興業。
「ネパール震災チャリティ・ヒマラヤ寄席・エベレストが笑った」が開かれました。
トリは林家彦いち師匠、同じ落語家・白鳥師匠、紙切りの二楽さんなど、人気芸人 9人が応援に駆け付け、
豪華な顔ぶれのチャリティ寄席。
その鈴本演芸場を覗いてみますと、
なんと！獏さんも和服姿で高座にあがりました。

写真左は、初体験の高座に上がった夢枕　獏さん。写真右は、一席を終えた夢枕さんをねぎらう林家彦いち師匠
獏さんの高座のみ写真撮影OKということで、写真を撮らせて頂きました！
獏さんのヒマラヤの床屋さん事情を語った「シャンプーシャンプー噺」の一席に、客席は大爆笑。
ご祖父様は芸人だったとか。やっぱり！

　写真は白神山地を満喫した作家・夢枕　獏さんの笑顔。

2015年7月27日記　文責　澤渡紀子会員。

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